さよなら自分

終わったことを書いていきます。

出会って4秒で激痛を伴った

関東も梅雨入り宣言され、これからは雨の日が続くだろう。子供の頃はカタツムリが紫陽花に現れたり、水溜まりを踏んで歩くだけで楽しかったり、普段は外で遊べという親もファミコンを容認してくれたりと、少なからず子供ならではのメリットが存在した。

 

それが今ではどうだろうか?洗濯は部屋干しで生乾き、傘を持つため荷物が増え、気づくとズボンの裾付近が濡れ、シャツも濡れての濡れ濡れだ。ビチャビチャの濡れ濡れで仕方がない。濡れに加えて電車での戦いもある。サラリーマンが戦うのは、決して勤務時間内ばかりではないということを、雨が降る度に痛感させられる。

 

今朝。電車はやはり遅れていた。通過する電車を見て、いつもより混み具合も凄まじいことになることは容易に想像できた。その場合に取るべき手段はシンプルで、なるべく人の波に飲まれない位置を確保すること。

具体的には座席中央付近のつり革を取ることで、大きな流れにアタフタする必要はなくなる。運が良ければ席に座ることも出来る。なので、中央の空いたスペースを見つけることに拘りを持つ。

 

『(グオオオオオオオ)』心の中で叫んだ時、僕の横には髪の長い女性が満員電車の勢いに負け、僕の足を踏んだことに気付く。女性が入ってきてから僅か数秒、まさに出会って4秒での激痛だ。普段、『出会って4秒で合体』という作品を少し馬鹿にしていた僕に対する天罰が下ったのだ。女性の足は遠慮なく僕の甲に乗り、電車が揺れる度に激痛が走る。ガタン(グニュ)ゴトン(ビニョン)。もう限界だ。しかし、相手は女性。ここで『痛いんだよボケ!』と言って、相手にトラウマを作るわけにはいかない。なので耐えた。次の駅まで耐えればどうにかなる。だから耐えた。大人だから耐えた。

 

しかし。。。『前の電車がぁ~停止している関係でぇ~この電車もぉ~少々停止しますゅ~』と地獄の社内アナウンス。それは会社へ行くのが遅れるだけでなく、現在感じている激痛時間の延長も意味している。痛い。。。女性の顔は小柄+長髪により見えないが、美人であれ。美人ならアディショナルタイムがもっとあってもいい。この最悪な状況をプラスに変えるのは、今僕の足を踏んでいる女性が美人であること。電車から降りる際に、少しか細い声で「すいません!」と言えば全てOKだ。だから、踏んでいる貴女は。。。美人だよね?

 

ガッコン!という合図で再度激痛が走ったが、電車は動き出し、無事に次の駅へと停車した。ようやく終わった。そして、もしかしたらこれから何か始まる可能性も?駅のホームで『ピーーー』と笛を吹いた駅員の合図は、始まりか終わりか?

 

プッシューーーと少し離れたドアが開き、女性の足がようやく甲から離れてくれた。『すいません。。。』少しトーンの低い声、そりゃーそうだよね。あんなに長時間踏んでたからトーンは低くなるわな。で、顔は?顔は?顔・・・・・・・・僕の顔を覗きこんだのは、ロッジの中岡似の女性だった。駅員さんの笛は、朝のストレスをハピネスに変えようとした僕に対する試合終了のホイッスルだったようだ。中岡さんの謝罪に軽い会釈で容認した僕。怒る理由はどこにもない。雨の影響で満員電車の混み具合がいつもより凄い状況の車内で、出会って4秒で激痛が走っただけ。なんの後腐れもない出来事だ。なんもね。

 

会社に着き、踏まれた足の甲を見てみると、そこには赤く腫れた跡がハートの形をして僕を見ていた。雨の日も悪いことばかりじゃない。

f:id:f-aso:20211228003103j:plain